歯石

2011年06月21日

以前 追い求めていた夢 って?

今日はちょっと難しいお話が混じるので
最初にお断りしておく。

数日前の、患者さんからの質問
「歯石はなぜつくのですか」
この仕事をしているとよく聞かれる質問だ。
siseki

ただ悲しいことに、真の理由は未だに分からない。
細菌が原因だとか唾液の成分が原因だ、とか
いくつか説があるが、確定していない。

今も真面目にこの分野の研究している人は少ない。
1983年以降の論文がキーワード一つでヒットする 
医学中央雑誌の検索では、近年では引っかからない
(=論文が出ていない)からだ。
私の勉強不足、調査不足かもしれません。
すみません・・・

この質問をされたとき、私は複雑な気持ちになる。

実は大学にいた12年ほど前、
歯石の成り立ちについて
研究を手伝っていたことがあるからだ。

学生を研究室に引っぱってきて
パラフィンフィルムを咬ませて
唾液を容器の中にためてもらう、というものである。

集めて分析、精製を行うのにも試料が必要だからだ。
もっとも、唾を集める場所・目的が間違えば
「唾くれおじさん」のようにタイーホされるわけだが…
(あれは採取じゃなくて、ビデオ撮影か・・・)

その時、主任研究者が考えていた学説

歯石の成分は主にカルシウム その由来は唾液だ
細菌があれだけの量の歯石を作り出すことは困難だし、
出来るのなら「歯石形成細菌」として研究者がとっくの昔に発見している。

唾液にはカルシウムが含まれているが、
その濃度は、過飽和状態である。
つまり、カルシウム分を溶かしている液体が真水ならば
溶けきれずに沈殿・結晶になっている、ということである。

しかし、唾液をためて置いといても
カルシウムの結晶としての沈殿は生じない
それは、沈殿させない物質が唾液にはあるからだ。

臨床の現場を見てみると、
耳下腺開口部(★)から出る耳下腺唾液より、舌の裏側
舌下腺・顎下腺開口部から出る唾液の方が粘度が高い
歯石の付き方は下顎の裏側の方が圧倒的に頻度が高い。

(★上の6歳臼歯付近の頬粘膜にある小さなふくらみ、
ウイルスで目詰まりするとおたふくかぜ)

唾液に含まれている物質、そう、タンパク質が怪しいと
にらんだわけだ。

で、ある程度のところまでまとめたようだが、
それからの発展はなかった。
医局のゴタゴタで研究がストップしたからだ。
人とカネがないと研究はできない。悲しい現実だ。

でも、もっと追究していれば、
歯石の付着メカニズムが
明らかになっていたかもしれない

歯石を付きにくくする うがい薬ができれば 
すごいことである。 歯を失うリスクが減る
むし歯と歯周病のケアが簡易にできれば 
まず歯は失わない。

購入対象者は全世界の人々 
購入可能者はざっと10億人はいるだろうか?
それが末永く である。 みんなの幸せ、
 「がっちり、がっちり」

でも歯科関係者から恨まれるだろうな…
仕事を奪ったって…

遠心分離で濃縮してー、Ca特異性クロマトで吸着させてー
塩基配列読ませてー、PCRで増幅させてー、タンパク合成してー…

あーやって、こーやって、なんてアイデアをめぐらせながら
いつかは解明したいという夢を 追い求めてみたくなる…

という夢から覚めて 今日もお仕事お仕事…

デンタルクリニック東陽台 院長でいちおう歯学博士の大石でした。
(全然学位が役に立っていないなー)





yobou_no1 at 22:48|Permalink